2020年 あいさつ

 

2019年はラボが始まって8年目の年でした。ラボは、私、Xu、吉田、高田、滝上のゴレンジャーではじまりました。その吉田君が努力を結実させた年でした。吉田君は東京薬科大学生命科学部から外研として参加しました。医学、脳科学について全く知らない状況で来ましたが、神経化学の若手育成セミナーには全参加、池谷研の勉強会に参加、木村さんの論文抄読会に参加と自ら道を切り開いてきました。博士課程の入試では、医学英語の成績が悪く、あやうく落とされそうになりましたが、三村教授が入試委員会で吉田君の将来性を訴え進学が認められました。今でもlogicalな英文を書くには力が十分とは言えませんが、吉田君はlogicalなfigを組むことができます。すなわち、logicalに考える人物であることがfig作成を通して分かります。学生さんはfigを組むことを一つの目標にしてください。その延長がポスター作成であり、口頭発表のスライド組みになります。学生さんには上手な発表をマネすることで自分の形を見いだして欲しいです。

私も成長した、吉田君も成長した。そんな8年でした。ラボメンバーは2人だけではありません。全ラボメンバーが成長して、新しい発見に胸を躍らせる経験をしてもらいたいと思います。そのためには、目の前のことを全力で取り組む。すでに全力を使っているので余力が無いのですが、更に新しい分野の勉強をする。自分にとって新しい分野は幾万もあるので、何から手を出せばよいか分からなくなってしまいますが、ご縁のあった分野から勉強していけば良いでしょう。出会いが大切です。

今年の挨拶は、ラボメンバーへのメッセージが中心となりました。世界のサイエンスのレベルが益々上がってきて、MITやStanfordの論文を見るとその高さに愕然とします。ただし、それをやっているのは同じ学生であり、同じ人間です。やれば出来るはず、他人ができたことは自分もやれると割り切って、他人が気付かないquestionを大事にして勝負しましょう。はじめの一歩は、自分が気付いたquestionを自分で解くことです。その連続の先に、大きな発見があると思います。あのラボは独創的だと、言われ続けたいです。

1月2日に上野の森美術館のゴッホ展に行きました。売りは「糸杉」。メトロポリタン美術館のヨーロピアンアート印象派の中でも大好きな作品の一つです。留学中、何度もMETで見た糸杉。留学から10年以上たった今、日本でそれを見たらどう思うのか、それを感じたかった。感じたことは、昔も今も同じで、独創でした。世界のだれもマネが出来ない独創。これは実に凄いことです。ゴッホがこの糸杉を描いたのは36-37才と今回知って更にビックリしました。本当に、うちのラボでこのレベルに匹敵する独創性を出せるのか。若い仲間の独創性を私が育むことが答えではないでしょうか。高い目標です。

あいさつの最後に変わらぬ研究室運営のモットーを3つ。

1. Beauty is truth. (by 濵清)
2. 研究は楽しくなければならない。楽しくない研究はするな。(by 池中一裕)
3. 共同研究者から学ぶ。


2019年の10大ニュース(サイエンス編)

1. 「腹側海馬―意欲の持続」論文がNature Neuroscienceにアクセプト
2. それによる私の北里賞受賞
3. それによる吉田くんのSPD採択、神経化学奨励賞受賞
4. Michael Drewを光操作研究会でinvite
5. 革新脳で小池Gに入れていただいた
6. 阿部さん修行中(超解像、RNAseq、血流、行動)
7. 秋まで大石君が頑張った
8. 山形大学山崎先生との共同研究がJ Neurosciにアクセプト
9. 医化学杉浦君との共同研究がiScienceにアクセプト
10. 濱口さんの学位苦戦


10大ニュース(プライベート編)
体育会アメリカンフットボール部で大変ご心配、ご迷惑をおかけしました。プライベートは1位から10位まで全部このネタ。

 

過去のあいさつ