マウスfMRI

  • fMRIは小川誠二先生らが発見したBOLD(blood oxygenation level-dependent)効果に基づいて、脳全体の活動を画像化する技術です。1990年に小川先生らがラットの脳で初めて報告し、1992年にはヒトについても報告されました。しかし小さな脳を持つマウスではfMRIが困難なために現在も報告文献の数は限られています。

    我々の共同研究先である実験動物中央研究所ではBruker BioSpin社のCryoProbeという新技術を用いてマウスfMRIに成功しました。そこで我々はKENGE-tetで作出した遺伝子改変マウスに対してfMRI計測する系を立ち上げました。

    生きている動物の特定の脳細胞を光照射することで活性化し、その影響を脳全体で計測します。これによって、例えばセロトニン神経細胞を活性化した時に、脳のどの部位が活性化あるいは抑制されるのかを解明します。

    また我々は、覚醒下のマウスを用いてMRI撮像する方法を確立しました。麻酔下での撮像が多かった小動物MRIですが、ヒトMRIは覚醒下で行われています。今後、マウスとヒトとのトランスレーショナル研究に貢献できるのではないかと期待しています。
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