- 動物実験において注意機能・衝動性・意欲を定量的に評価することは,注意欠如多動性障害,統合失調症,薬物依存,境界性人格障害など様々な精神疾患の病態解明や治療薬開発に役立ちます.これらの認知/実行機能を定量化するために、心理学分野ではオペラント行動課題が広く用いられてきました(図1).本研究室では,注意機能・衝動性を適切かつ同時に測定できる評価系として,3-選択反応時間課題(3-choice
serial reaction time task)を導入しています(図2).また、意欲に特化した評価系として,progressive ratio
taskを導入しています(図3)。
- (図1)本研究室では、Med社の9-hole nose poke chamberを使用して3-choice serial reaction time
taskとProgressive ratio taskを行っています。
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- (図2)3-choice serial reaction time taskは認知機能を同時に評価することが出来るオペラント課題です。
マウスは報酬を得るために3個のholeに注意を向け、光ったholeに素早くnose pokeすることが求められます。
正解反応率や正解反応潜時が注意機能を、おてつきnose pokeが衝動性を、正解後のしつこいnose pokeが固執性を、総試行数が意欲の指標となります。
また、報酬を回収するのに要した時間を食欲の指標として用いています。
本研究室では、1 session/dayでマウスにトレーニングを施し、およそ28日で学習が完了します。
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- (図3)Progressive ratio taskはレバーを押せば押すほど報酬が与えられる、きわめてシンプルな課題です。
Trial毎に報酬を得るために要求されるレバー押し数が上昇するため、レバー押し数が意欲の指標となります。
注意も行動抑制も必要としない課題なので、3-choice serial reaction time taskで意欲低下が疑われた場合に、この課題でより詳しく意欲を評価する方法を取っています。
本研究室では、1 session/dayでマウスにトレーニングを施し、およそ14日で学習が完了します。
神経分子/薬理の分野ではまだまだマイナーなオペラント行動課題ですが、transgenic mouse,optogenetics,chemical
geneticsとの相性は抜群です。やってほしい・みてみたい・やってみたい・自分の研究室に導入したいという方はぜひご連絡ください。木村が熱く指導します。